エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜





ランチの場所に選んだのは、館内にある『ムーンクォーツ』という名のカフェレストランだった。


今私たちがデザートを楽しんでいる、この場所のことだ。


鉱石をモチーフにしたメニューを出す店で、私が選んだエメラルドの宝石みたいなデザートには「翠玉」という名前がついていた。


「この『ミュージアム』は今年で開館40周年になるんだけど、『水晶の旅人』は三年前にできてから瞬く間に人気になってね。
とくにデートスポットとしてカップルに人気が出て、今ではここの看板アトラクションだ」

「わかります。とってもロマンチックでしたものね」

頷く私の向かいの席で、ハルヒコ様は「だろう?」と笑う。

彼が注文したアイスコーヒーは「タイガーアイ」というメニュー名だ。

ストローでくるくるとかき混ぜると、褐色の液体の中央に金色の渦が浮かび上がる。

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