エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

「もともとは、髪と同じ黒い色で……」

私が答えようとした時、リリリリ……とハルヒコ様の上着のポケットの中で携帯電話が音をたてた。

ちょっと待ってて、と私に断り、彼は電話に出る。

「もしもし?はい……はい。……今ですか?……ええ、そうですね。それなら……」

少しのあいだ話し込んでから、「わかりました」と言って通話を終えたハルヒコ様は、申し訳なさそうに私に向き直った。


「すまないリイナ、これから少し会社に顔を出さないといけなくなった」


ハルヒコ様は今は療養中で、会社のことは親族に任せてある―――トウジ様はそう言っていた。

けれど会社からの連絡はよくあるみたいだし、社長のハルヒコ様でないと対応できない用事だとかで、今みたいに呼び出されることもたまにある。

以前より回復してきたからか、最近では完全に任せきりなわけではないらしい。

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