エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「30分したら、あのアイスのお店の前にいるようにします」
「うん、すまないね。ああ、こういう時のためにリイナにもケイタイが必要だな。
戻ったらそれも見に行こう」
じゃあ行ってくる、とハルヒコ様はきびすをかえした。
私は遠ざかっていく背の高い後ろ姿を見送って―――その背中が見えなくなってなら、はあ、とひとつ溜め息をついた。
『リイナには、将来の夢はあるかい?』
あれからずっと、ハルヒコ様の言葉が頭の中でぐるぐる回っている。
将来の夢?
私の夢は、<グリーン>としての実力を認められて暮らすこと。
『<グリーン>としてじゃない、15歳の女の子である君自身のことを―――』
<グリーン>としてじゃない、ただの女の子の私?
ただのリイナに価値はないし、当然見れる夢もない。