エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

「30分したら、あのアイスのお店の前にいるようにします」

「うん、すまないね。ああ、こういう時のためにリイナにもケイタイが必要だな。
戻ったらそれも見に行こう」

じゃあ行ってくる、とハルヒコ様はきびすをかえした。

私は遠ざかっていく背の高い後ろ姿を見送って―――その背中が見えなくなってなら、はあ、とひとつ溜め息をついた。



『リイナには、将来の夢はあるかい?』



あれからずっと、ハルヒコ様の言葉が頭の中でぐるぐる回っている。


将来の夢?


私の夢は、<グリーン>としての実力を認められて暮らすこと。


『<グリーン>としてじゃない、15歳の女の子である君自身のことを―――』


<グリーン>としてじゃない、ただの女の子の私?

ただのリイナに価値はないし、当然見れる夢もない。

< 122 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop