エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

私の価値は<グリーン>であること。

<グリーン>として引き取られたんだから、そう扱ってくれればそれでいいのに。


ハルヒコ様は優しくて良心的だから、感じなくてもいい責任まで感じて、私を大事にしようとしてくれる―――。


最初はそういう人に引き取られて幸運だったと思っていたのに、今はその優しさに自分の心が追いつけなくて、苦しい。


価値のないただのリイナのことなんか、気にされたって困る……。


(……それとも、ただの私にも価値があるって、ハルヒコ様は思ってくれてるの?)


きゅうっ、と胸が締め付けられる。

だめだ、と思った。

私は今、期待してしまいそうになっている。

もう求めないと決めたはずのものを、求めてしまいそうになっている。

だめ、どうせ、得たと思ってもあっけなく失って終わるんだから。


(これ以上、考えたらだめ―――)

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