エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「……でも、トウジ様は今、教えてくださいました。
子供の私の不安を解消させたいだけなら、もっと違う言いくるめ方もあるのに、すべてを教えてくださった……」
トウジ様は、向かい合って座る私を眼鏡越しにじっと見つめてきた。
私もそれをじっと見つめ返す。
しばらくして、彼はフッと笑った。
「やっぱり君は賢い子だな。
……先日この家に来た時も、君は私が自分を観察していると気付いていただろう」
「はい。最初は、働きぶりをチェックされているとばかり思っていましたけど」
「はは、まあ間違ってはいないよ。
『原石園』出身の<リーフ>とはどんな娘だろうと思って観察していたからね。
そうして見て、私は君のふるまいから、<グリーン>としての強い自負を感じたんだ。
自分の仕事に誇りを持っている。
年は若くても、君のようにしっかりした者になら、すべてを打ち明けてハルヒコを頼むこともできるんじゃないかと思えた。
……大人の身勝手な考えだけれどね」
トウジ様はそこで、すっと背筋をのばした。
「改めて、君に頼みたい。ハルヒコにも、君のその力を使ってやってくれないか」