溺愛〜ラビリンス〜

苦しそうに話す鷹宮にもう何も言えなくなる。


「…もう今日は終わりだ。翔真も今日はここには来ないだろうからな。お前にはチームの判決が出るまで見張りを付ける。ないと思うが、逃げんなよ?常に行動は把握させてもらう。当然だが、お前自身でこの間の行動は自粛してくれ。良いな?」


俺の言葉に頷きチームの見張り数人と一緒に鷹宮は帰って行った。
これから4交代で鷹宮の事を見張る。平行して姫の行方を探さなければならない。
チームは非常事態だ…



俺は階段を下り、凌を探しに外に出た。凌は壁に凭れ珍しく煙草を吸っていた。


「珍しいな…お前が煙草吸うなんて…」


俺が声をかければフッと目を細め俺に視線を向ける凌。


「悪い…耐えられず先に出た。」


余り感情を表に出さない奴だが、ユズ姫の事はやはりショックだったのだろう。まぁ…俺だって同じだ。

気持ちはよく分かる。今やりきれない気持ちで一杯だから、これ以上鷹宮の顔を見てられなかったんだろう…

それだけ凌にとってもユズ姫の存在は大きいんだろうな…ユズ姫は何があっても俺達の大事な姫だ。そんな事を思いながら凌の隣で俺も煙草に火をつけてため息と共に紫煙を吐き出した。




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