溺愛〜ラビリンス〜
姫の行方

三浦 柚姫 side


あつくんのマンションを逃げ出した私は行く宛てもなく途方にくれていた。


どうしていいか分からなくてただ歩き続け、何処にいるのかよく分からなくなってしまったけど、マンションからかなり離れたと思う。


知らない公園が見えてきた。此処までくる間、バイクの音がすごく聞こえた。その音を避ける様に此処まで来たんだけどもう歩けない… すごく疲れた。もうどうなってもいいや…公園で休もう。



辺りは真っ暗で公園には人気がなかった。

公園にはブランコ、滑り台、鉄棒、そしてお山があった。


私はお山の穴の中に入って体を丸めて座った。空を見上げると星が綺麗に見えた。


「翔兄ぃ…」


名前を呼んだら急に今まで堪えていたものが堰を切った様に込み上げ涙がこぼれた。


もう翔兄ぃには会えないんだよ…何でこんな事になっちゃったのかな?私の何が悪かったの?

考えても考えても分からない。でもひとつだけはっきりしているのは、私の事誰も知らない所に行きたいって事。誰にもこんな姿見られたくない。


少し休んだら電車に乗って此処を離れよう。その後どうするかはそこで考える。そう決めたら気持ちが少し楽になった。


疲れ切っていた私はいつの間にか意識を手放していた。




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