溺愛〜ラビリンス〜

三浦 翔真 side



穏やかに時間が過ぎて、柚が自然と学校生活に馴染んできてかなり明るくなった頃、渉から柚を連れて何処か行こうと提案があった。そして柚が希望する遊園地へ行く事に決定して今日を迎えた。

多分渉も柚が表面上明るくしているが、心の傷が深い事に気づいているんだろう…だからこんな提案をしたんだと思う。




朝早くからバタバタと起き出した柚は、キッチンで料理を始め手際良く大量の弁当を作ってご機嫌で俺達と遊園地に向かった。


遊園地に入るとハイテンションな柚は、絶叫系の乗り物に乗りたがり俺を戸惑わせる。
俺はこの手の乗り物が苦手だ…何とか回避しようとしてみたが、柚にむくれられてしまった。

仕方ないか…今日は柚を本当の笑顔にする為にここに来たんだから、柚の好きな事をさせてやらないとと、諦めて柚の好きな乗り物に乗せる事にした。でも…それは地獄のような時間で、柚が危なくないか落ちたりしないか途中で怖くなって泣き出したりしないか…と心配と不安だけだった。二度と体験したくないと思った。


しかし柚は俺の心配を余所に次々と絶叫系の乗り物を選び乗ろうとする。




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