溺愛〜ラビリンス〜

折沢 渉 side


「渉くん…ごめんなさい。私…翔兄ぃがそんな状態になっているのに…家に連絡もしないで…ごめんなさい。渉くん…私…翔兄ぃの傍に行っても良いかな?」


柚ちゃんは自分を責めているのだろう、不安そうな表情で俺に聞いてくる。翔真の事が心配で仕方ないのが痛いほど伝わってくる。
俺は柚ちゃんに優しく話し、翔真の病室へ行こうと手を取り歩き出した。


「渉くん…良いの?」


それでも柚ちゃんは戸惑っているのだろう…立ち止まって俺にそう聞いてくる。柚ちゃんの目からは涙が溢れた。


「柚ちゃん…良いんだよ。翔真の傍にいてあげて?柚ちゃんが傍にいないと、翔真は目を覚まさない気がするから、傍にいてくれないと困るんだよ。」


優しく諭すように言うと、柚ちゃんは頷いたので俺達は翔真の元へと歩き出した。

俺は軽く振り返り、凌達に目配せをして後の事を任せると、凌達は理解してが頷いたので、その場を後にした。


「渉くん…翔兄ぃはどうしてこんな事になったの?」


病院の廊下を歩きながら会話が始まる。




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