ツンデレ社長の甘い求愛
「ただちょっと調整が必要ですよね。こっちのはバターの風味が強すぎますし、かと言ってこちらは薄い。絶妙な加減が難しそうですね」

「そうなんですよねぇ、そこがなかなか……。でも頑張りますよ! なんていったって三周年の記念すべき限定フレーバーですから」

そう言ってくれた開発部の社員に頭が下がる。

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

フラワーチョコレート誕生からずっと一緒に仕事してきた者同士、固い絆がしっかり出来上がっている。

「期待していますね!」

それは松島主任も同じ。

ふたりで深々と頭を下げ、今後のことを話し合い開発部を後にした。


「いい感じに進んでいますね」

「そうだね、パッケージデザインの方もうまくいっているし」

開発部からオフィスに戻る途中、松島主任と廊下を進んでいく。

廊下には誰もいない……んだけど。

足を止め、つい振り返ってみてしまう。

「どうしたの、馬場さん」

不思議に思った松島主任も足を止め尋ねてきた。
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