ツンデレ社長の甘い求愛
「それと能無しに教えてやる。飲み会も立派な仕事のうちだぞ。そこで次の仕事に繋がったりするんだ。同僚との飲み会なら、お互いの意外な心内を知れたりするしな。参加しないなんて、自ら成長できるかもしれないチャンスを、放棄しているのと同じだぞ」


ズバズバと遠慮なく言われる言葉が、次々と心に突き刺さり撃沈寸前。


えぇ、えぇ! 言われなくても理解していますよ、それくらい!

ですがこっちにだって色々と理由があるんです!

私のことなんてなにも知らないくせに、偉そうに言わないで欲しい。


「なんだその顔は。図星を突かれてふて腐れたのか? まるでガキだな。いや、ガキ以下だ」

「……っ!」

どうやら感情は素直に顔に出てしまっていたようで、怒涛の追い込みをかけるように、へこむ言葉を言い浴びせてくる。


社長のおっしゃっていることは、まさに正論。

私には立場的にも言い返せない。


ちょうど電車がホームに到着し乗客が降りた後、次々と乗り込んでいく。

けれど私はそっと列から離れた。


社長がどこまで行くのか分からないけれど、例え一駅だけだったとしても同じ電車になんて乗りたくない。
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