ツンデレ社長の甘い求愛
まるごと愛して
「どうぞ」

「お邪魔します」


この日の夜、カイくんと共にやって来たのは隣の社長の部屋。

一歩足を踏み入れると、すぐに気づいたラブちゃんが姿を見せた。


「ワンワンッ!」

カイくんと対面を果たすと、二匹はお互い駆け寄り嬉しそうにじゃれ合い始めた。

その姿に社長とふたり、顔を見合わせ笑ってしまった。


「珈琲でいいか?」

「あ、はい! すみません」

通されたリビングのソファに座って待っていると、彼からマグカップを手渡された。

すると迷いなく隣に腰掛けてきたものだから、心臓が飛び跳ねてしまう。


それに気づいた社長はクスクスと笑い出した。

「なにいまさら。ラブたちを見習え。あんなにイチャついているんだぞ」

社長の言う通り、久し振りに会えたおふたりは終始ラブラブ。


けれどカイくんとラブちゃんのようにはいかないよ。

好きだからこそ、緊張しちゃうものじゃない。

マグカップをギュッと握りしめてしまう。


すると社長は手にしていたカップをテーブルに置き、こちらに身体の向きを変えた。

「午後の勤務は大丈夫だったか? なにか言われたりしなかったか?」

そして心配そうに私を見てきた。
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