ツンデレ社長の甘い求愛
それは今まで以上に神経を使うし、任せた分ハラハラしてしまい、余計に疲れてしまったけれど、それ以上に大きな物が得られた気分だった。

私では到底思い付けないアイディアに驚かされたり、勉強させられたり。


自分ひとりで達成したときより、後輩が予想以上に仕事がデキたりすると、嬉しかったりしちゃったんだよね。

ごろりと寝返りを打ち、リビングの天井を見つめてしまう。

少しだけ仕事のスタイルを変えただけで、こんなにも充実感を覚えることができるなんて――。


トクンと鳴る胸の鼓動。

社長はこれを言いたかったのかな?

もしかして今まで私や他の社員に、必要以上に厳しくしていたのは、社員の成長を願ってのことだったのかな?

傲慢な人だとばかり思っていたけれど……本当は違うのかもしれない。

「…………なんだこれ」

仰向けになったまま、両手を胸に押し当てるとびっくりするほど心臓は速く脈打っていた。


いやいや、おかしいでしょ。

ここは『社長ってば、さすが! ますます仕事面で尊敬しちゃいます!』でしょ? 決して少女漫画のように胸が高鳴って、ドキドキ! 『これはもしや、私ってば社長のこと……』じゃないでしょ!!
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