好きって言ったら、どうする?









「……勇さんは、どうしてこんなに私に親切にしてくれるんですか?」

「………。」

「普通、そんなこと言ってくれませんよ。」











私が顔を俯かせながら
そう尋ねると




勇さんは少し黙ってから


置いていた箸を再び持って
朝ごはんを食べ始めた。









───そして











「…お前見てると、ほっとけねェからじゃねぇの?」











ただ一言、そう言う。








私はそれを聞いて

思わず顔を上げ、彼を見ると





勇さんは先ほどと変わらず
普通な態度で ご飯を食べ進めていた。










(………やっぱり…)











私は


そんな勇さんの姿を見ながら
ドキドキ---と、胸を鳴らす。









───今度は、止まることなく ずっと。










(…やっぱり、違くないかも……。)










私は




今この人に、ドキドキしてる。











私はそう自覚すると


顔に熱が集まるのを感じて
思わず、勢いよく箸をつかんでしまった。





そして




その勢いのまま


私は少しヤケになりながら
朝ごはんを 再び食べ始める。










「……そんな腹減ってたのか。」

「っ……ま、まぁ…。」










そんな私の気持ちも知らず

勇さんは静かにそんな事を言って
私の食べる様子を眺めていた。










……気付かれなくていい、こんな気持ち。










出会ってすぐのこの気持ちも

きっと少し経てば何も無かったように消える。






だからそれまでは



素直に、この人にときめいていよう。









そんな風に思いながら

私は勇さんと 朝ごはんを食べた。






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