極上な御曹司にとろ甘に愛されています

私が涙ぐみそうになると、卓がそう言ってペロリと舌を出した。

「もう、卓の馬鹿！」

感動して損した。

ゴンとゲンコツで卓の頭を叩くと、「うっ、いてえ……」と弟は呻く。

「姉をからかうのもいい加減にしなさいよ！」

私がキッと睨み付けると、卓は苦笑いした。

「まあ、まあ、そう怒るなよ。俺が女なら恭介さん逃さない。男の俺から見ても見せかけだけの人じゃないって思う。他の女に取られて後で泣き言言うなよ」

私にそう忠告すると、卓は後ろ手を振って出ていった。

ポツンと玄関に残された自分。

多分……恭介がどこにでもいる普通の人なら、私も自分の気持ちにストップなんてかけないと思う。

でも、彼は容姿も並外れていて、仕事も有能。周りにいる人はあの美人の従姉や真木さんのようなハイスペックな人達。

普通のＯＬの私が恭介の隣にずっといる……なんて現実として考えられない。