極上な御曹司にとろ甘に愛されています
夢を見て……きっと後であんな格好いい人がいたねって振り返るんだと思う。

でも、病気の彼を放置しておくなんて出来ない。

恭介の風邪は自分の責任だ。

彼の風邪が治ったら、普通に同僚として……接しよう。

胸がチクンと痛むのを感じながらも、私は改めてそう決意する。

恭介に薬を飲んでもらうために、キッチンへ行ってお粥を作ると、寝室へ戻った。

ベッドサイドにあるテーブルにお粥を乗せたトレーを置くと、目を閉じている恭介に小声で声をかける。

「恭介」

まだ起きていたのか恭介は目を開けて私の方を見た。

「少しでも食べて、お薬飲みましょう」

私の声で恭介はゆっくり起き上がる。

小さな土鍋の蓋を開けて小皿にお粥をよそうと、フーフー息を吹き掛けて冷ましてから恭介の口元までレンゲを持っていく。

すると、身体が相当辛いだろうに彼はフッと笑った。

「今度は食べさせてくれるんだ?」
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