極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「……恭介の額から血が流れるの見た時は……このまま意識が戻らないんじゃないかって思って……本当に……本当に怖かった」

「うん」

俺は小さく相槌を打つと、萌の身体を強く抱き締めた。

「……ちゃんと意識が戻って良かった」

萌が俺を見上げて泣きながら笑う。

「ただ看板が当たって気を失ってただけだ。念のためCTを撮ったがどこも異常はないし、目が覚めたら帰っていいそうだ。私はこれで失礼するが、裏口に車を待たせてあるからそれで帰りなさい」

じいさんは俺達にそう伝え、ドアの方に向かう。

「賢明ですね。邪魔物はさっさと消えて下さい」

俺がじいさんを邪険に扱うと、彼は少しへそを曲げた。

「ふん。退散はするが、お前は早く結婚して子供を作れ」

……まだ言うか、この人は。

懲りない人だな。

「余計なお世話ですよ。それは俺と彼女の問題です」

萌を抱き寄せて、俺は冷ややかな目でじいさんにきっぱり言う。
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