千年の眠りから覚めれば



那雪の上にゆっくり跨り

床ドンならぬ布団ドンをすると、

那雪の額にちゅっと小さくキスをする。


「那雪、起きて?」

「……んぅ……」


白が那雪の耳元に顔を寄せて、甘い声で囁く。

那雪は一瞬顔をしかめるも、ごろんと寝返りを打ち

白に背を向ける。


「ふ〜ん、那雪ってば起きないの?」


「……んぅ…すぅ……」


「……ふーー」


にこぉっと愛らしい笑顔を浮かべると、

白は息がかかるほど近く那雪に顔を寄せて小さく囁いた。


「……次は唇にキスするよ?」



がばっと一気に目が覚めたように那雪は体を起こすと、

すぐ横でにこにこと笑ってる白を

まんまるく開いた目で見てから、

冗談だと気づき、ため息をつく。



「……もっとまともな起こし方はないわけなの、白……」


那雪は、もう1度呆れたようにため息をつくと、

起きかけた体の空気を入れ替えるように

大きく欠伸をした。


その横で布団の上に寝転がって面白そうな顔で

頬杖をつきながら白はにやにやと笑う。


「最初はちゃんと普通に声掛けたけど、

起きなかったのは那雪じゃ〜ん」


「だからって朝から心臓に悪いことしないでよ……」


「だって那雪にはこれが1番効くし〜

寝坊して''お局''に怒られるよりはいいでしょ?」


「どっちもどっちだっつーの!」


相変わらず悪びれる様子のない白を見て、

那雪は天を仰いだ。



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