お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「次はね、実験室で手作り石鹸を作るの、申し込んだの。こっちだよ、実験室」先生の手を取り、実験室に向かった。

部屋に入ると、先生役とおぼしき女性スタッフが挨拶をしてきた。

「この白衣を着て、使い捨てのマスクをしてくださいね」言われたように私達は用意を整えた。

「今から石鹸をつくるわけですが、今日は石鹸をつくって乾かすところまでは無理です。ですので、後日できた石鹸を郵送させてもらいます」と言われたので、郵送先を私の住所にした。

固形の無香料の石鹸をナイフで削っていく。型にはめるわけだが、先生はハーブを練り込んで香り付けのアクセントにしたようだった。

私は、ハチミツを少しばかり入れてみた。

お互いが作るのに熱中しすぎて、全くの無言だった事が面白かったね、と後日話しては二人して笑った。

「出来たのはうれしいけど、せっかく外国の泡風呂試してみたかったのにな、残念。送られてくるのはまだ先だよね」

「泡風呂してもいいよ、僕の部屋でね。ボディーソープとかあるしさ」

「楽しみー。昔ね泡風呂がしたくて湯船にね、石鹸いれて泡立てたら母親に叱られたの」

「あ、そうだ。石鹸の泡のホイップクリームより生クリームのホイップクリームの方が良くない?」先生の言葉に私は一瞬ドキッとしたけれど、きっとケーキか何かを食べようと思って、そう口にしたのかな?としか思わずにいた。




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