お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「夢にまでみた泡風呂だ!これやってみたかったのよね」外国映画でよく見かける、泡風呂につかりながら、足を高くあげる、あのポーズ。

はしゃいで浴槽の中、バシャバシャとするものだから、後からお風呂に入ってきた先生に、「ほら、まわりに泡が飛び散って風呂場の床とか泡まみれだ。滑って転ばないようにね」

先生は半ば呆れ顔にも似た表情を見せ、苦笑した。

「体洗ってあげるからおいで」
「先生の誕生日のお祝いなのに?洗ってくれるの?私も洗うよ、先生の背中流してあげる」
「ありがとう。けど、隙あらばコチョコチョとやってくるでしょ?くすぐったくてたまらないから、今日はいいよ」

つまんない、と言った私は泡まみれのまま、浴槽から出て洗い場の椅子に座る。
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