お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~

人の男を値踏みする女 その2

例の由美子さんに頼まれていた通りに、棚橋先生と、そして私とトモミを交えて食事する事になった。

私は誕生日に先生からもらったティファニーの鍵のモチーフのペンダントをつけていた。

お気に入りのサマンサタバサのバッグは、夏のかごバッグから秋仕様のファーが所々についているスエードのバッグにシフトしていた。

前に先生とルイヴィトンのショップに行き、何か買ってあげようか?と言われたものの、高価すぎるものは気後れして、また働いてお給料を貯めて買います、と言って断った。

誕生日や、クリスマスなんかのイベント以外に何か貰うのは気がひけてしまう。由美子さんは、ステイタスの高い男性と付き合ってきているし、モテるので、プレゼントは日常のようだった。

お寿司なんかが頂ける、個室の割烹料理屋が今夜の食事の場所だった。トモミと私は駅で待ち合わせて、そのお店に向かう。先生は仕事を終えて、この店に直行すると言っていた。

店に入ると、まだ先生も由美子さんも来ていなかったため、待つことにした。
「高そうな店だよね。時価って怖い」私がそう言うと、
「由美子さん行きつけの店らしいの。私たち、由美子さんと先生の仕事の話がたてこんだら、退散する?」

先生と私の関係を知らないトモミはそう言ってきた。
「う、うん。・・・そうだね」
「由美子さん、先生がいい感じなら狙うって言ってたよ」
「え?で、でも先生既婚者だよ」
「由美子さんは関係ないよ。聞いたでしょ?何年か前に、家庭崩壊させてるし、魔性の女よね、悔しいけど美人だしモテるしさ」
「・・・」

私はその言葉に不安になってきた。ほどなくして、由美子さんが部屋に来てすぐ様、先生も入ってきた。
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