ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
幸い、朝早い時間帯だったおかげで、単身者専用のこのマンションの住人さんには、一人だけしか会わなかった。
その人(男性)は、エレベーターに乗って下りてきたんだけど、待ってた私と、私を抱きかかえている壁のような大男(望月さん)を見て、一瞬ギョッとした顔をしていたっけ・・。
でも、何も言わずにサッサと行ってくれたのは・・・もしかしたら望月さんに睨まれたからかもしれない・・・けど、その配慮はありがたかった。




「ホントに、ありがとうございました。いろいろ・・」
「いや。靴、修理に出しといてやる」
「え?でもそこまで」
「現場行くついでだ。知り合いが現場の近くで修理屋やってっから」
「あぁ、そうですか・・・。では」

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