ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「うわ。これは・・・」

私は、鏡を見ながら、そこに映っている胸まわりの赤い点々を、なぞるように触った。

「これって・・・キスマーク、だよね。ていうかこんなとこにも!?」

両腿の内側にもそれぞれ1つずつついている痕(しるし)を発見した私は、思わず屈んだ拍子に、腰あたりがまたズーンと疼くように痛んでしまい、「あたたた」と独りごちた。

あの人、そんなに強く私の肌を吸ったっけ・・・いやいや。
何度も何度も触れてたから。手で、指で、そして舌で。

あのときのシーンが脳裏に蘇ってしまった私の頬が、カーッと熱くなった。

だっ、ダメダメ!
今は思い出しちゃあ・・・鳩尾疼いちゃダメ!
あれは・・・そう、強さというより回数、積み重ねよね、きっと・・・たぶん。

背中にもついてるのかなと思ったけど、自分ひとりだけじゃ確認できないから、結局考えるのは止めた。
それより今は、お風呂に入ることが先だ!

私は、お湯を出す音が聞こえるバスルームの扉を開けた。

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