ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
私は、彼のお言葉に甘えて、望月さんちの中をサーっと散策した。
でも全体的に小さな平屋建てなので、散策はすぐに終わり。
私がダイニングキッチンに戻ってきた頃、望月さんはまだ晩ごはんを食べていた。

私は、望月さんの向かいに座ると(ダイニングチェアは2脚しかなかった)、トンカツを頬張っている望月さんに、「望月さんもお料理するんですね」と言った。

「ああ。ひとり暮らし長いしな。だがこれは俺が作ったんじゃねえよ」
「え?ではどなたが・・・まさか、通いのメイドさんとか雇ってるんですか?」
「いいや。だが女が作ったってことは間違いねえな」
「あ。じゃあ・・・通いの彼女、さん?」
「今は誰もいねえっつってんだろ。ここの近くに友だち住んでんだよ」
「へぇ。お友だち、ですか」

「知人」じゃなく「友だち」と望月さんが言ったことで、その人と望月さんは、かなり親しい仲なんだと察しがついた。

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