なんでも夜


いつの間にか葵は消えており、
私も、自分の部屋の天井を見つめていた。



何だってこんな夢を毎日毎日…



 

いや、この夢を見るようになったのは
ここに引っ越してきてからだ。



私の両親は他界しており、1人身になった私はずっと親戚の所を転々とし、
皆に迷惑がられていた。


一度は施設に入ったものの、私の言動に
怖がったためか、すぐに追い出された。



もう諦めかけたとき、ここの堂島夫妻が
私のことを引き取ってくれた。

どうやら、母方の遠縁の親戚で、
私の今までの扱いが見ていられなかったらしい。




ここには私の祖父も住んでいたみたいで、
始めてきたときに、遺品を渡された。
私に貰って欲しいと言われ、
しぶしぶながら、私はそれを受け取った。



そういえばあの人、誰かに似てると思ったら、私に似ていたんだ。
あの髪の色も目の色も…そのまま…



「紫苑さぁん、学校に遅れますよ~」
 

「はぁーい!」



下から美咲さんの声が聞こえ、
私は荷物を持って急いで、下に向かった。
下に付くと、もう祐一さんは朝ご飯を
食べていた。




 
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