Open Heart〜密やかに たおやかに〜

「失礼します」
会議室へコーヒーを持って入る。

見たことがない男性2人が既に座っていた。会釈をしてコーヒーの入ったカップとコーヒーミルク、スティックシュガーの入った白いカゴをテーブルへ男性達の前へ置く。

「課長は今参りますので、少々お待ちください」
男性2人へ笑顔を向け、頭を下げた。

「宮路 樹里!」
急に大きな声で、しかもフルネームで名前を呼ばれて、思わず弾かれたように顔を上げ「はい!」と元気よく返事をしていた。

「やっぱ、そうだ!!」
ガタガタと椅子から立ち上がって、ドア近くにいた私のところまで大股で歩いて来た男性。

やっぱって、誰?
知ってる人だっけ?

ラグビーでもやっていそうなゴツい体型。顔も凛々しい感じで、まるで戦国武将か何かみたいだ。甲冑が似合いそうだ。

やだ、全然知らないんだけど、こういう戦国武将キャラの人。

こんな感じの男性には全く見覚えがない。
コーヒーカップを運んできたトレーを胸に抱え、急に目の前にすっ飛んできた武将キャラの男性に私は多少怯えていた。

「あの…」

「いやぁ〜会えて嬉しい!」
いきなり、ガバッとトレーごと抱きしめられていた。

「ちょっ」
トレーの角が胸にめり込んで痛いくらいだ。
私がトレーで男を押し返そうとした時、会議室のドアがノックされ、ついでカチャリとドアが開いた。

「お待たせし…」
ドアを開けたのは、シュウちゃんだ。

武将キャラの男にガバッと抱きしめられた状態で、私はシュウちゃんとバッチリ目を合わせていた。

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