闇喰いに魔法のキス



****



「じゃあ、私は本部に戻るわね。」



全てが終わり、ギルと別れた私たちに

ミラさんが白いマントを翻しながら言った。


その時、ロディが口を開いた。



「ミラ。これ持ってけ。」


「!」



ひゅっ、と、ロディはミラさんに向かって何かを投げた。

ぱし、と受け取ったミラさんの手元を見るとそれは小さなUSBメモリーだった。



「…何?」



ミラさんが怪訝な顔をしてロディに尋ねるとロディは、さらりと答えた。



「俺が、あるツテから入手したダウトの情報だ。デマじゃないから安心しろ。

これを使えば、過去のことや、エンプティのことも追いやすい。」



!


ダウトの情報…?


私とミラさんが驚いてロディを見上げると

ロディは表情を変えずに言葉を続けた。



「本来、俺はギルにしか情報を流さないが、今回は例外。

傷の治癒と手を貸してくれた礼……と、
心配かけて泣かせた詫びだ。」



「っ!」



ミラさんは、小さく目を見開く。


しかし、すぐにいつもの表情に戻ったミラさんは

微かに優しげな笑みを浮かべたロディに向かって口を開いた。



「礼としてなら、遠慮なく受け取っとくわ。

…“情報屋”。次は助けたりしないから。」



「あぁ。“あんた”との共闘はこれっきりだ」



…!


静かに視線を交わし合った二人は、お互い背を向けて歩き出した。



「…酒場に帰るぞ、嬢ちゃん。」



ロディは、私に声をかける。



!


私は、それを聞いて、はっ!とした。

ばっ!とミラさんに向かって呼びかける。



「ミラさん!

レイはまだ捕まってるんですか…?!」



その時、ぴたり、と足を止めたミラさんが、小さく振り向いた。


そして、どこか感情を隠すような声で私に答える。



「…安心して。レイ君は釈放された。昼間は目の前で彼を連れて行って悪かったわね。

今頃、酒場でルミナさんの帰りを待ってると思うわ。」



…!


私が、ほっ、と胸をなでおろすと

ミラさんは微かに目を細めて再び歩き出す。


私は、その凜とした背中を、じっ、と見つめていた。


…よかった。

レイは、釈放されたんだ。



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