闇喰いに魔法のキス



!


もう、レイから目が離せなかった。


レイが、初めて私をちゃんと見つめてくれた気がした。


私は、意を決して彼に言う。



「レイ…。

名もなき魔法の魔力を、受け取ってくれる…?」



レイは、微かに肩を震わせた。


そして、私の目を見つめたまま

こくん、と無言で頷いた。



…!



レイが……

過去を思い出す気はないって言ってた、あのレイが…!



私は、ぎゅっ、とレイの服を掴んで彼の胸に顔をうずめた。


そして、はやる気持ちを抑えて

シンを渡した時のように、心の中で呟いた。



私は…シンのリバウンドを消したい。

レイに、私を思い出してもらいたい。



名もなき魔法の魔力を、レイに渡したい…!



と、その時だった。



ブワッ!!



辺りに、激しい風が吹き荒れた。


私の体が熱くなると同時に、レイの瞳が輝き始める。



「「っ!!」」



二人が目を見開いた瞬間

足元に大きな魔方陣が広がった。


バチバチと、レイに宿っているシンの魔力と魔方陣が共鳴している。


レイが、ぐっ!と私を抱き寄せた。

私は、そのままレイに体を預ける。


古代文字がものすごいスピードで魔方陣の周りを囲い始めた。


風で持っていかれそうになる体を二人で必死にこらえる。



その瞬間

パキ…!と小さく音がした。


見ると、足元の魔方陣にヒビが入っている。



!



私とレイが、はっ!とした瞬間

レイの体を、魔方陣から放たれた光が包んだ。



「くっ…!」



レイの口から、小さく声が漏れる。



パァン!



魔方陣が砕け散った瞬間

レイの体を包む光が消えた。


レイを見上げると

彼の薔薇色の瞳がどんどん薄くなっていく。



「レイ、レイ…っ!!」



必死で名前を呼ぶと、レイの瞳が一瞬に碧色に変わる。


!


しかし、すぐに薔薇色の瞳へと戻ってしまった。


レイの中で、シンのリバウンドと名もなき魔法の魔力が反発しあってるんだ。


苦しそうに顔を歪めるレイ。



…レイ…

お願い、シンの魔力に負けないで。


私のところに帰って来るって、言ったじゃない。



レイ、早く帰ってきて…!



薔薇色の瞳が揺らめいた時

私は、レイの服を、ぐっ、と、引き寄せた。



「……っ。」



レイが、呼吸をした瞬間

私は、レイの唇を塞いだ。


月明かりに照らされた地面に映る二人の影が重なった。



「……ん…っ…」



ちゅ、と小さな音を立てて唇が離れると

レイの瞳が、綺麗な海の色へと変わった。


見開かれた彼の瞳は、私の大好きな碧色の瞳。


背伸びをして浮かせていたかかとを地面につけると

私は、彼をまっすぐ見つめて口を開いた。



「レイ。」



「……!」



しぃん、と、夜の街が静まり返る。



レイは数回まばたきをして、私を見つめた。


そして、私が小さく呼吸をした瞬間

ずっと見たかった笑顔が目の前に見えた。



「……ルミナ……。」



< 221 / 259 >

この作品をシェア

pagetop