闇喰いに魔法のキス



****



「ロディ、これすごく美味しいよ…!」



「…ん。本当だ、美味いな。

今度酒場のつまみに取り入れるよう、レイに言っておくか。」




パーティ会場に入ってから三十分。

私はロディと一緒に、大きなテーブルにバイキング形式で並べられた食事を口に運ぶ。



どれも豪華で、新鮮なものばかり。

お腹空かせてきて正解だったなぁ…!



…レイも食べられれば良かったのに…。



ふと、レイのことを考えると

ロディが私の心を見透かしたように笑って言った。



「レイの分も貰えるか、後でシルバーナさんに聞いてみるか。」



…!

私は笑顔で頷く。


会場では食べられなくても、テイクアウト出来るなら持って帰りたいな。


…それにしても、何の用事なんだろう?


“急用”って言って、パーティ放り出してモートンのところに行くなんて

そんなに大事な用事なのかな?



その時

客人に挨拶をして回っていたシルバーナさんが私たちの方へと歩いてきた。



彼女のにこやかな笑みに、私もつられて笑顔になる。



「食事は口に合いますか?」


「はい!…すごく美味しいです…!」



シルバーナさんは私とロディの反応を見て、嬉しそうに笑った。

私がテイクアウトのことを聞くと、シルバーナさんは喜んで頷く。



…良かった。

せめてものドレスのお礼として、帰ったら、レイに一番に食べてもらおう。



その時

カチャ…、とフォークを皿に置いたロディがシルバーナさんを見て口を開いた。



「…それで…さっきから会場を見渡しているんだが、写真の彼氏が見当たらないんだ。

どこにいるか、心当たりはないか?」




!



ロディの言葉に、私も、はっ!とする。



…いけない。

食事に夢中で、本来の目的をすっかり忘れるところだった。



ごくり、と喉を鳴らしてシルバーナさんを見つめると、彼女は困惑したような顔で答えた。



「彼はお忍びで来ていますので、目立って歩き回ったりはしていないはずですわ。

…喫煙所とか、ベランダに出ているかもしれません。」



そっか…。


シルバーナさんの言葉を聞いて、私は改めて考える。



偽ギルは、シルバーナさんのお父さんの知り合いではない。

私たちもシルバーナさんに招かれたけど、偽ギルはシルバーナさんの“彼氏”だ。



もしシルバーナさんの家族に見つかってしまったら

跡取りに相応しい人物なのか、厳しい目で見られるに決まってる。



…偽ギルは嘘をついているし、ギルのフリをしているのなら

なおさらパーティでウロウロ出来ないよね。


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