手を繋ぐ以上の関係を望んでいる。

朝比奈さんの瞳に見つめられた時、あたしは逃げることができなかった。

どう対応すればいいのか戸惑っていたら、気づいてしまった。

いつの間にかできていたこの気持ちを知ってしまった。

――あたしは、朝比奈さんのことを好きになってしまった…と。

逃げたいのに逃げれなかった。

そらしたいのにそらせれなかった。

離したいのに離すことができなかった。

もっと一緒にいたい。

彼の隣にいたい。

見つめあって、手を繋ぐ以上の関係を求めている。

「今日は外で夕飯を食べて帰ろうか?」

そう言った朝比奈さんに、
「…そうですね」

あたしは呟くように返事をするのが精いっぱいだった。

この気持ちを朝比奈さんに伝えたら、彼はどんな反応をするのだろうか?

隣を歩いている端正なその横顔を見ながら、あたしは思った。
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