「着替えたらすぐにご飯作るから」

朝比奈さんはそう言うと、あたしの前から立ち去って自分の部屋に行った。

…えーっと、これでいいのか?

彼の後ろ姿を見送ったあたしは、心の中で呟いた。

明後日はあたしは社員旅行で家にいない、朝比奈さんも出張で家にいない。

何でしょうか、この偶然は。

「ま、いっか」

結果的には朝比奈さんに伝える手間が省けた。

しかも1日だけである。

事情は違うけど、お互い1日だけ家を留守にするのだ。

うん、大丈夫だな。

あたしは首を縦に振ってうなずくと、リビングの方へと足を向かわせた。
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