箱庭センチメンタル



私が気付かないだけで他にまだ人がいたのかと、つい目を凝らしてしまった。


それほど衝撃的な光景だったのだ。



『あんたほんと性格変わるよねぇ。あのお嬢様にはお優しいくせに』


『は?冗談やめてよ、ぜんっぜん笑えないんだけど。
誰が好き好んで子守りなんてすると思うわけ?むしろガキとか大っ嫌い』


『でもその猫被りのおかげですっかりお嬢様のお気に入りだもんねぇ。調子はどーよ?』


問いかけられた彼女は一言。


『最悪よ』


そう言い放った。



愚痴を漏らすその声の冷たさには覚えがない。



『ただ取り入って遺産の相続権を握るために構ってやってんのに、何を勘違いしてんだか。だから子供は嫌なのよ』



遺産……


既に、菊ノ宮がどれだけ大きな名家なのかを知っていた幼い私にも、その言葉だけは分かった。


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