箱庭センチメンタル
今でこそ感情の起伏が少ないけれど、この頃は年齢的に精神面が幼かったのだろう、私も怖いもの知らずで。
無謀、無鉄砲。
そんな言葉が合っていた。
彼女に会いたいがために夜部屋を抜け出すことも度々あった。
もちろん遠くまでいくことは叶わず、大体は自ら諦めて部屋に戻るばかりだったけれど。
その日は、屋敷を徘徊していて運良く彼女を見つけた。
彼女は私に気付いた様子もなく、他の女中も一緒にいたことから、私も安易に飛び出していくこともできずに物陰に隠れて様子を窺っていた。
この時、私は子供ながらに違和感を覚えていたのは間違いない。
着物の袂を緩め、腕を組み、眉間に皺を寄せる彼女は明らかに雰囲気が違っていた。
『あーあ、失敗した。この仕事給料は良いけどさぁ、決まり事は多いし割りに合ってなくない?まじで勘弁してほしいわ』
彼女が発したとは思えないほど冷めきった声。