箱庭センチメンタル
それにしても……
ふと、部屋を見回す。
本当に屋敷内で侵入者を探し回っているのだろうか。
疑問を抱いてしまうほど、静かな部屋。
穏やかな時が流れる。
と、安堵していたのも束の間。
次の瞬間、私の心臓は体験したこともないような速度で大きく跳ねた。
ダンッ!!と、襖を蹴破られたのかと錯覚してもおかしくない、物凄い音。
息が詰まり、呼吸が一瞬、止まった気がした。
何事かと、問う間もなかった。
「ちょっとここに匿って!!」
部屋全体を揺らすように響く大きな声。
開け放たれた襖の向こう側。
縁側に膝をついてこちらを真正面から見据えてくるのは、私とさほど年の変わらないだろう少年だった。