箱庭センチメンタル
彼を酷な目には会わせたくない。
だからここまで真摯に対応しているのだけど、そのためには最低でも……
「案内が必要になってしまうのですが…」
それは、侵してはいけない領域を脱する手になってしまう。
彼がここにいるのを知るのは私のみ。
助けは望めない状況下、私が彼を案内する他ない。
部屋を出てはいけない身であって、それは至難を極める障害だ。
当然、彼はそれを知る由も無い。
早々ここから去って欲しい。
その為に私の案内は不可欠。
さて、どうすべきか。
屋敷の主がいつ戻って来るかも知れぬ状況。
申し付けを破って部屋を脱する。
結果、待ち受ける制裁。
自業自得。
これほどまでに愚かしい行為が他にあろうか。
決して、大げさで言っているわけではないのだ。
だけど。