箱庭センチメンタル



私も、いらぬ気苦労を抱えて見咎められたくはない。


時間は取らせないと言っていたお祖母様も、いずれ戻ってくる。


危険はなるべく、早期で対処したい。



「でもなあ、ここに来るまで結構人がいたんだよ。連中も血眼なんだろうな。
どこか人が来ない抜け道とかない?」


「そうですね……
一つだけ、無いことも、その……無いのですが…」


思案ののち、おずおずと口を開く。


この曖昧な言い回しには、訳がある。



人に出会わず、抜けられる方法。


ただそれは、少々安全とは言い難い。



「そこ教えてくれないか?」


唯一の突破口。


当然、逃す手はないだろう。



けれど、道は複雑。


危うく、来客用に併設された観賞庭園などに迷い込めば望み薄だろう。


お祖母様に見つかることが最悪の事態とするなら、恐らくはただで帰ることは保障されない。


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