箱庭センチメンタル



孤独なんて言葉で飾るつもりは毛頭ない。


悲観など以ってのほか。


悲劇を語るのもおこがましい。




古い古い記憶の片隅。


私はほんの小さな子供だったけれど、幼稚な真似をすると叱られた。



蹲って泣いていた時。


誰かが来るのを期待していたけれど、話を聞いてくれる人はいなかった。



退屈しのぎ、戯れ心で隠れてみた。


『親をからかって楽しいか』


こうすれば構ってもらえると皐に言われたけれど、見つかった父に一言、冷罵された。



気弱な母にせがんで、おぶってもらった。


甘えたい一心だったけれど、お祖母様に見咎められて私も母も激しく罵られた。



皐に可愛いお人形をもらった。


取り上げられて、無残にも捨てられたそれは皐がくれた大切なもの。


他には何もいらないから、それだけは奪わないで。


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