箱庭センチメンタル




泣いていた私に駆け寄ろうとした者は、問わずお祖母様に睨まれた。


私を叱責した父が愚痴を漏らしているのを陰で聞いた。


私に構った母が厳しく言い含められているのを見てしまった。


人形を私が処分したのだと、誤認した皐が泣いていたのを知っている。



ただ、望んだだけだった。


欲しいものを掴もうと必死になるほど手に入らず。


親密になるほど、周囲が不幸になる。


関わりを断つ他に手はなかった。




私は、だれ?


どうして一人?



なぜ、隔離されなければならなかったのですか。


私は本当に家族の一員なのですか。


そもそも、家族の定義とは何ですか。


私の存在意義はここにあるのですか。


人形の私に権利はあるのですか。


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