箱庭センチメンタル
「皐はもう、心配で心配で……。ご無事で何よりです、お姉様」
今にも泣き出しそうな声。
溢れそうな涙を必死に堪える姿が容易に浮かぶ。
彼女の無知は、清らかかつ真っ当な性格であるがゆえ出来上がったもので、決して悪いことではない。
心の綺麗な者は、それだけで人を惹きつける魅力がある。
そう、意識しているわけではないのだから、悪いはずがない。
けれど、それゆえに残酷。
それは私からしてみれば、彼女の唯一絶対の罪ともいえる。
だから、私の打算だらけの策略などすぐに打ち砕かれてしまうのだ。
あわよくば言いくるめられる。
そうすれば、二度と近づきたがらない。
そんな牽制目的で問い詰めた結果、狙いは外れ、逆に私が動揺してしまっている。