箱庭センチメンタル
「私の心配など不必要。全く無用な行為です」
無感情であれ。
何があっても動じることは許されない。
私に味方はいらないのだから。
「さあ、出てお行きなさい」
私に積み立ててきたものがあると同時に、皐にも失ってはならないものがある。
それが現在の地位であり、彼女の全て。
私が心配と言うけれど、それは抱いてはならない、彼女にとって尤も無益なものだ。
石ころは気付いてもらえなくて当然。
それで私が皐に何を思うわけでもないのだから、むしろ胸でも張ればいい。
足元は見なくていい。見てはいけない。
下に目を向けて立ち止まって、駆け寄って。
そうやって貴方が傷付かなくていい。
母に似て控えめで従順、物分かりがいい皐は頷いて去るかと思われた。
けれど。
「……いや、です。皐はここから出て行きません」