わたしの初カレ。

□困難はみんなで乗り越える


────



日曜日。


私石井望和は今日、高校2年生になって初めて星莉ちゃんとるると遊ぶことになった。


「うおおおおお!!
望和と星莉と一緒に水族館行けるなんて幸せ!!」



「私も。
望和ちゃんとるるちゃんと、水族館に行けるなんて幸せだよ」



「わっ!私もー!
今日は、楽しもうね!!」



そして、水族館へ向かった。


「あっそう言えばね、
うちの担任の先生、るるちゃんに似てるの」



「そうそう!
星莉ちゃんの言うとおり!!
本当に似てるんだよ〜」


「えっ?!ほんとほんとっ?!

...どこら辺がぁ〜?」



「顔のパーツとか!!!」


...あっ、星莉ちゃんとセリフかぶった。


でもこんな何気ないやり取りが楽しい。


最近、唯くんの事とかがあったから、

今日はたくさん楽しんで忘れるんだ。


そして、水族館に入った。



「わぁああ!!!
このウミガメでかいいいい!!」


ウミガメが好きなるるは、テンション上がっている。


るるが楽しんでいる姿を見るのはなんか久しぶりかも。


最近、私達とクラス離れていることに落ち込んでいたからなぁ...。


「なーにボーッとしてるの望和!!
あっ!あっちにアザラシの水槽がある〜!!」


アザラシ?!


実は私は、アザラシが好きなんだ。


目がくりくりしていて見た目が可愛いし、


アザラシの顔を見たら癒される。


────待って!!可愛すぎる!!


「きゃああああああ!!!!

ゴマフアザラシの鼻ヒクヒクしてる!!」


「望和って、こんなにテンション上がる時があるんだね(笑)」


「私だって、テンション上がるんだよ(笑)」


はぁ〜、本当にアザラシ可愛いなぁ...。


癒される。




しばらく私達は、アザラシの他にも色んな広場をまわった。


そして、私達が巨大水槽を見ていると


隣の方から聞いたことのあるような声が聞こえてきた。



「ねぇねぇ...
キスしよーっ...キスしたいのぉ〜」



るるにもその声が聞こえてきたのか、

るるの表情が曇った。



「今の声ってさ、エリカ?」


と小声で私達にるるは言ってきた。


嫌な予感がした。



エリカちゃんがいる...ということは、



唯くんもいるってこと...?




そう思って、隣の方を見た。



────衝撃がはしる。


背の高い唯くんに、

エリカちゃんが背伸びしてキスをしている。



エリカちゃんが唯くんの肩に手を置いて...


────?!


あのキスは...


「ねえ...望和と星莉...

今のキスって...ディープキスだよね?」



私は目をそらすことなくずっと無意識のうちに見ていた。



あの2人は、私達の存在に気づくことなくキスをしている。


唯くんは、されるがままだ。


エリカちゃんは、

唯くんの舌を甘噛みしてみたり


絡めたり


とにかくエロい。



────夢中になって見ている私に、
るると星莉ちゃんが私の手を引っ張って

別のところに移動しようというような感じで

手で合図してくれた。



本当に衝撃で、刺激的だった。




私達は、水族館にあるカフェスペースに移動すると一斉に話し始めた。



「ねえねえ!!望和と星莉はあのキスどう思った〜っ?」



「凄かった...です。
なんか私、あういうの見るの初めてだから...」



2人は、そう言って


私にどう思うって聞いてきた。


どう思うって言われても...

衝撃で私は話せない。



──ディープキスってあんな感じなんだ。



ボーッとしている私に、星莉ちゃんは



「もしかして望和ちゃん、
まだ唯くんのこと...?」


「えっ?!マジー?」


「そっ!そんな訳ないじゃん!!
本当にイキナリ金髪にして、気持ち悪いし!!」


そう言った私に2人は

そうだよね!!

と言って、水族館内にあるカフェで何か頼むことにした。


「さあさあ!

さっきのことは忘れて!!
パフェ食べよーーっ!」


るるは、そう言ってメニューを広げた。


美味しそうなものばかり。

よし!

私も美味しいもの食べて忘れようっと。



「ねえねえ!!!望和!!

アザラシくんパフェスペシャルがあるよ!!」


「えっ?!
可愛いそのパフェ。私それ頼む!!」



やっぱりこんな時、友達っていいなと思う。



「キモイやつのことは、忘れた方がいいよ。
アイツはすぐ、新しいカノジョを作ったってことは、最初からアイツは最低オトコだったんだよ!!!」



そう言うるるに、星莉ちゃんも激しく頷いて私に、そうだよそうだよと言ってくる。


「...そうだよね」


そう言ったものの、
唯くんが酷い人
って思われているのがなんか悲しい。


そこに星莉ちゃんが、

「それより、店員さん呼んでパフェ食べよう?」


と言ってなんとなく私を気遣ってくれた。


そんなつもり星莉ちゃんには無いのかもしれないけれど、ありがとう。


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