S系御曹司と政略結婚!?
そのまま視線を移した先は、凍りつく場でも飄々としていたクソガキだ。――オマエ、一体ナニに使うつもりだ?、と。
ぷいっと顔を背けたチビガキは、華澄を見つめながら悲しい顔をする。我が息子ながら本当にイイ性格をしてるな、おい。
「あのね、手錠で“ケーサツごっこ”がしたいだけだよ?それとも華澄は、“コドモのじしゅせい”うばうの?」
「えっ、そうだったの……」
クソガキの4歳児らしからぬ発言にすっかり心を動かされた、じつに単純な妻に嘆息したくもなる。
純真無垢の仮面を被った息子の目を真っ直ぐに見つめ、どこか申し訳なさそうな表情まで見せているのだ。
「和臣、疑ってごめんね?」
「ううん!オレが華澄を守るっ!」
「却下。俺の稼いだ金で変な物は買わせねえよ」
「はあ!?オヤジは黙ってろ!」
思わぬところで横やりを入れられ、恨めしそうな視線を向けてきた和臣を鼻で笑う。
「フッ、オマエの考えることなんてたかが知れてるんだよ。
どうせ俺が寝た隙に手錠でもかけて、華澄と一緒に寝たいんだろ?ママ大好きだもんな?」
にっこり笑って言いきると、ぐっと声に詰まっている息子。屈んで目線を合わせた俺は、さらに話を続けた。
「どのみち華澄を抱いて寝てるし?オマエが何しても無理だから諦めろ」
「ふんっ!オヤジのばーーかっ!」
最後に笑顔で告げると、和臣は顔を真っ赤にしながら怒って部屋を出て行った。……これで妙なモンは強請らないといいが。