S系御曹司と政略結婚!?


「貴方はただ会社が欲しいだけでしょ……?私はっ、有川の家も会社だっていらないのっ!」

悲しみと悔しさが入り混じり、胸を締めつける。これが八つ当たりだって分かっていても、口にせずにはいられなかった。

こんなヤツと婚約なんて絶対ムリ。嫌い合ってる者同士が結婚なんておかしいよね?政略結婚なんてしたくない。

私は生まれた時から、お母様のように幸せになる権利も与えられていなかったの?

好きな人と結婚出来ないなんて納得出来ない。今日ほどこの環境を嫌に感じたのは初めてだ。


「ねえ、私を嫌ってるのに結婚なんてしたくないでしょ?お父様達ならこちらできっちり説得するから安心して。
結果的に私は身軽になれるし、貴方にとっても“余計なもの”が除外される。ほら、ウィンウィンじゃない?」

泣きながら話していたが、目の前が明るくなっていく。最善策に辿り着いたのだから、ここで立ち止まるわけにはいかない。


「これで良いよね?」

口裏合わせをしなければ後でややこしくなる。あえて勝ち気な態度で言質を取ろうとした。

「俺は認めない」

「……は?認め、ない?」

瞠目しながらおうむ返しをする私に、ヤツはニヤリと口角を上げて笑った。


「提案は受け入れない。ついでに、残念なことにオマエの当ては外れだ」、と。


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