S系御曹司と政略結婚!?
そんな私は、有川 華澄(アリカワ カスミ)。社会人生活にもまだ慣れない26歳だけど、とある企業で副社長を務めている。
現在の会長である祖父が創業した当社。現在は父が社長職に就き、グループ関連企業も含めた経営を担っている。
経営状態は健全なので何ら心配ない。株価変動も少なく、安定を求める株主様にご贔屓頂いてありがたい。
さらに有川家の歴史も古く、日本史の教科書に出てくる偉人が家系図にその名を連ねているとか。
しかし、ここで問題がひとつ。
とても残念なことに身内が私しかおらず、この年齢で役員に就任したのだ。……こららの意見はまるっきり無視で。
胡座をかきたくないし、お飾りなんていやだから努力してるけど。当然、経験も知識も浅い私が役に立てるはずもなく。
本音を言わせて貰うと、何もなかったらあのまま大学に残って院生になりたかった。
だけど、祖父も父も聞く耳を持たない。大学卒業後は跡を継ぐために入社するように命じられ、最後は根負けしたのだ。
振り返ってみると、この計画は大学選びの時点ですでに始まっていたように思う。
私が幼稚舎から通っていたのはエスカレーター式の学校で、大抵の学生が大学部もそのまま上がる。
その状況にいながら、父と祖父は高校に上がって暫くすると、私にこう言ったのだ。
『大学はその学校でなくてもいい。もし行きたいところがあれば好きな所を目指しなさい』、と。
驚きながらもすぐに頷いた私の心は固く決まっていた。その時、初めて与えられた自由を逃さないために。