秘密の花園×名なしの森

 珍しく姉さんは真剣に話を聞いてくれた。いつもは生返事ばかりなのに、今日は相槌や頷きといったまともな反応が返ってくる。へぇとか、ふぅんとか。

 一通り経緯を説明し終えると、彼女はにんまりとした笑みをしていた。

 ……なんとなく、嫌な予感がする。

「――で? 恋しちゃったわけだぁ、NANAちゃんに」
「ッ?!」

 思わず吹き出しそうになった。顔どころか、体中が熱くなる。

「あら、違うの?」
「ち、違うよ……!」
「じゃあ、なんで『また逢いたい』なんて言葉が出てくんの?」

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