記憶は私に愛をくれない。



「やっぱり驚くくらいのことはするんだなぁー。」




少し興味なさそうに頭を掻く陸。





「どっちから?どっちから告白したの?」





「マリア。」




マリア……。




陸は一木先輩を呼び捨てにするんだ。

私は『風間』なんて苗字なのに。




………

……、




「そろそろ、帰るか。」



不意に黙り込んだあたし達の空気を破ったのは陸だった。
< 33 / 159 >

この作品をシェア

pagetop