記憶は私に愛をくれない。
「いい加減さぁーーー、インハイから戻ってき?」
昼休みの食堂。杏奈に軽く説教された。
「だってぇ、凄かったんだもん。」
「まぁ、全国だからね、そりゃ凄くなかったらどーすんよ。」
「それじゃなくて!!」
私は肘をテーブルにつき、そのうえに顎を乗せていた状態からテーブルに両手をつき身を乗り出すようにして杏奈と向かい合った。
「なるほどね、陸に魅せられたんだ。」
「そ、そゆことです。」
あっさり当てられて、恥ずかしくなって座り直す。