あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
誰だろう。
ビックデータで算出された人間の評判を確かめるために、月島さんに確認を取ったのは。

「面談の場所にいたのって、社長だけでしたか?」

「んん?どうだったっけ。たしかそうだったと思うけど」
月島さんは思い出そうとするみたいに、顎に指をあててる。


「それで?初めてそれを聞いた時、どうして私が選ばれたのか聞いてくれたんですか?」

「そりゃあなあ。聞いたさ。でも、いろいろデータを検討した上って言葉を濁された。確かに。異動の希望も出してないやつが選ばれるって、珍しいと思ったけど。それがどうかしたのか?何かあるのか?」


「私は、コンピュータで選ばれたみたいなの」
このくらいは話してもいいだろう。

「占いみたいにか?」


「へ?」なんですと?
なんか、一世代前の占いコンピューターみたいに思ってませんか?


「ほら、どれにしようかなって」
アホですか、もう。


「真面目に聞いてるんですか?」
こういう素直に、反応するところは課長と全然違う。


「だから、機械が選ぶってことに、どんな意味があるっていうんだよ」

「さあね。私にもわからない」
だから聞いてるのに。


ビックデータで選ばれたってことは、そうなんだろうけど。

実際のところは、どうなってるのか分からない。

月島さんが言う通り、機械で選ばれたから、どうだっていうのだ。

「ごめんなさい。せっかく来ていただいたのに、役に立てなくて」

「なあに生意気なこと言ってやがる。そろそろ、べそかいてるんじゃないかって心配してやって来たんだ」

「本当に、それだけですか?」

「まあ、あのメガネもお前のこと大切にしてるみたいだし」

「どうしてそんなことが分かるんですか?」
こんな短い間に、月島さんは何に気が付いたんだ?

「お前、相変わらず色恋沙汰には、縁遠いな」

「あ、あなたに言われたくないです」

「まあ、いいさ。いろいろ収穫があったから」

「収穫って何ですか?」

「いろんなこと。まあ、頑張れよ。ゴールまではだいぶ遠そうだけどな」
< 172 / 240 >

この作品をシェア

pagetop