あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
もう、メガネ男め!!
パタンと閉じられたドアに向かって、毒づく。
これじゃ、逃げたのと変わりないじゃないかと反省した。
追い出されたその足で、エレベータに乗る。
メガネ男に、人の話を聞けと文句を言いたいけど、怖くて声に出せないから、胸の内にしまっておこう。
とりあえず気を取り直して、総長に会いに行かなきゃ。
えっと、総長どこにいるんだっけ。
エレベータで最上階のフロアまで上がる。
メガネ男のせいで、時間ぎりぎりになっちゃった。
扉が開いて勢いよく1歩足を踏み入れた途端、足元がぐらついてなぜか転びそうになる。
うわっ、今日は、よくつまずく日だ。
なんだ?
下をみると、薄いグレーのフカフカのカーペットが敷き詰められている。
辺り一面、灰色のフカフカだ。
これのせいか。引っかかって、よろけそうになった時、危ないところをそばにいたキレイなお姉さんに助けられた。
「大丈夫ですか?」腕を支えてもらって、顔が近づいてきた。
運命の出会いかって、勘違いするほどのドキドキしてる。
なぜか、じいっと見つめられてる。
顔、近いんですけど。
んん?
えっと。何でしょう。
どこかでお会いしましたか?