それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「あー、もう腹が立つわ」

 エボニーはむしゃくしゃする気持ちを抱え、外の空気を吸うために城内を出た。

 城の中も、外もジュジュの誕生日パーティの突然の中止に困惑し、訪問客で溢れていた。

 諦めてすぐ家路に着く者、未練がましくその場を動かない者、ジュジュの様子を知りたくて中の様子を探ろうとする者、その場で知り合った者同士話し込んでる者、様々にごった返している。

 その間をエボニーは通り抜け、そしてある人物を探していた。

 人気のない、林の中を通り、その先に黒い馬と共に一人の男が周りを気にして立っているのを見ると、エボニーは走りよった。

「セイボル!」

 つい大きな声でその男の名を呼んでしまうと、口元に人差し指を当て窘められた。

「声が大きい。エボニー」

「わかってるわよ。ちょっとイライラしてて、気持ちが高ぶってるの」

 二人は人に見られていないかもう一度周りを良く見て確認する。

 誰も居ないことに安心し、セイボルは肩の力を抜いた。

「一体城の中で何が起こってる? 王女は重病なのか?」

「まさか」

「は?」

「もっと最悪の事態よ。王女が逃げた」

「なんだって? でもなぜ?」

「理由ははっきりと聞いてないけど、きっと外に好きな人がいるに違いないわ。そうじゃなければ、この大切なときに城から抜け出そうなんて思わないでしょうから」

「好きな人? 誰だ、それは?」

「知らないわよ。でも昨日はあたかも今日という日を楽しみにしてたのよ。しかも『私は絶対、失敗なんてしないわ。私は私の好きな人を選ぶのよ!』なんて力説してたくらいだから、その人に会いに行ったとしか思えないわ」

「一体いつ出会ったというのだ」

 セイボルは眉を顰めて考え込んだ。
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